R&B(リズム&ブルース)その発祥と歴史
- BCI Gospel
- 2024年10月30日
- 読了時間: 4分
こんにちは。urasanです。
今回はリズム&ブルースという音楽ジャンルについてご紹介します。リズム&ブルースといえば何を連想するでしょうか?おそらくほとんどの方がイメージするのは黒人歌手ではないでしょうか。ブラックミュージックといえばこの音楽を連想するほど黒人音楽そのものを表す代名詞的な音楽ジャンルです。そんな黒人たちと密接にかかわっているリズム&ブルースについて解説します。
レイス・ミュージック
第二次世界大戦以前は黒人音楽が白人に聞かれることはほとんどありませんでした。
大戦以降黒人音楽が白人社会に入り込んできました。黒人向けの大衆音楽の総称をレイス・ミュージックと呼んでいました。
レイスとは”人種”という意味で、白人音楽とは分けて考えていたことがうかがえます。
リズム&ブルースという呼称を使用し始めたのは1940年代、音楽雑誌ビルボードが始まりで、レイスという言葉は時代に合わないということで新しい言葉としてリズム&ブルースという言葉が生まれました。
ラジオが果たした役割
第二次大戦後、ラジオ局の数の規制がなくなりアメリカ中に白人経営者によるラジオ局が増加していきました。
しかし、テレビの登場によりラジオは押され、どんどんとマイノリティーに特化した番組作りをするようになっていきます。
今でもそうですが、ラジオで重要なのはDJの役割です。どんな音楽を流すのかどう聞いている人たちに言葉たくみにセールスするのかがレコードの売り上げを左右したのです。
アラン・フリード
1951年の夏、レコード・ランデヴーというクラシック専門のラジオ番組を担当していたアラン・フリードは番組名を「ムーンドッグズ・ロックンロール・パーティー」という名前に改名し、当時の白人音楽チャートを無視して、チャック・ベリーやリトル・リチャード、レイ・チャールズといった黒人ミュージシャンたちの音楽をヘビーローテーションにし若者たちの間で人気の番組となっりました。
ロックンロール
アラン・フリードは番組で流す音楽をロックンロールと呼んで紹介しました。
ロックンロールは黒人たちの間で使用されていたスラングでセックスを意味する言葉でしたが、楽しい時間を過ごす、パーティーをする、ダンスを踊るなどの意味に派生していき歌の歌詞としても登場するようになります。
こうして白人の若者たちの間でロックンロールは人気の音楽となっていきます。
60年代以降
1960年代以降、R&Bは公民権運動の流れもあり、一時ソウルという名前で呼ばれるようになります。
1970年代に入ると、ディスコブームで黒人音楽と白人音楽の境界が薄くなっていき、区別するため再びR&Bという言葉が出てきます。
1980年代に入るとふたたび黒人音楽のを表すR&Bという言葉が定着するようになりました。
有名なR&Bシンガーたち
Aretha Franklin
米国史上最も尊敬を集めた歌手。ソウルの女王。
牧師の娘として生まれ幼いころから父の教会でゴスペルを歌い天才的な才能を発揮。
シングル「リスペクト」は公民権運動やフェミニスト運動を象徴する曲となりました。
Stevie Wonder
生まれて間もなく盲目となります。
音楽の才能に秀でていて神童と呼ばれ11歳でモータウンからデビューしました。
Ray Charles
偉大なソウルミュージック歌手。R&B、ブルース、ゴスペル、ジャズなどを組み合わせて様々な音楽を作ってきました。
Marvin Gaye
1960年代から70年代にかけて最も活躍した歌手の1人。
レコード会社の反対を押し切って反戦ソングや環境問題を題材にした歌を発表し、成功しました。
J-popの中のR&B
日本の歌手で有名なのはMISIA、宇多田ヒカル、久保田利伸などです。R&Bのイメージに近い音楽を紹介しましょう。
つつみ込むように・・・
/MISIA
Automatic
/宇多田ヒカル
LA・LA・LA LOVE SONG
(with NAOMI CAMPBELL)
/久保田利伸
まとめ
R&Bもゴスペルから派生した音楽です。黒人奴隷時代の苦しい状況から生まれたゴスペルから様々な音楽が派生してきたのです。
彼らの苦しみと痛み、祈りが込められた歌が脈々と受け継がれ、変化し現代にいたります。
R&Bと聞くと難しく思うかもしれませんが、最初に紹介したように日本のポップシーンでも多く取り入れられている音楽です。
さらにロックンロールの父ともいえるジャンル。大人の音楽というイメージですが、全くそんなことはありません。もちろん演奏するのは難しいですが・・・。
聞くにはとても聞きやすい音楽といえるのではないでしょうか。
参考文献
・ハワードグッドール『音楽の進化史』、河出書房新社、2014年。
・『ニューグローヴ世界音楽大事典』、講談社、2001年。
・ ジェームス・M・バーダマン (著), 里中 哲彦 (著) 『はじめてのアメリカ音楽史』、ちくま新書、2018年。